エゾシカの個体数について
北海道のエゾシカの生息数は60万頭とも65万頭とも言われています。エゾシカは、毎年猟期の狩猟と個体数調整(有害駆除とも言われていますが・・)によって10万頭程度捕獲されています。それでも年々農産物等への被害が増えているのは、捕獲される頭数よりも生まれてくる頭数の方が多いからですが、この均衡を保つためには13万頭とも言われていますが、確かな根拠があるわけではありません。また、農産物等への被害を削減するためには、適正個体数を目指さなければなりませんが、その数は何頭でしょうか。被害が出始めたのが大体昭和60年ごろとも言われており、その当時でエゾシカの生息数は20万頭ともいわれていました。この数を目指すのでしょうか。今、大学や行政機関等でその目標設定のための研究が行われています。
もうひとつのエゾシカ問題
いずれにしても、今よりもさらに多くのエゾシカを捕獲しなければならないのは明白です。
エゾシカ問題の最大のテーマは、農産物等への被害を削減するための個体数調整ですが、同時に大きな問題としてあげられているのが捕獲した後の処分です。
捕獲されたエゾシカはどのようになっているのでしょうか。平成21年度に北海道で調査された結果では、最も多いのがハンターの方たちによる自家消費です。自分で捕獲したものを家庭や知人等で食したり、皮や角などをインテリアなどに利用したりしています。この量が、ほぼ6割です。
次に市町村で処分されている量が約3割あります。実は、もうひとつのエゾシカ問題はここにあります。市町村や農協等からの依頼で有害駆除の名目で捕獲されたエゾシカは、一般廃棄物ですので市町村が処分しなければなりません。その方法は、市町村もしくは広域組合で所有している焼却施設や埋立施設での処分が行われますが、ほとんどは捕獲現場での埋設を含めた埋立処分です。この施設容量が足りていないのです。そのため、多くの場合、重機で穴を掘りそこにエゾシカを埋めるという方法がとられています。もちろん、埋められたエゾシカは土中の微生物によって分解されますので問題はありません。ただし、数十頭から数百頭が埋められるわけですから、その費用もかかりますし、ハンターに依頼して捕獲してもらうのですから、そのための報奨金(平均6,000円/頭)もかかります。この費用が市町村財政、道財政の負担となっているのはいうまでもありません。
今後、さらに捕獲数の増加が見込まれる中でこの処分施設をどう整備するかが大きな課題となっています。
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